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学校の作文は「よい子」を求めます。老人を思いやる作文はことに好まれる傾向にあります。ふと思い出しましたが小学生のころ、私は版画で当時の郵政大臣賞をゲットしました。そこに描かれていたのは微笑み合う老人と孫の姿、仲睦まじく肩たたきなどしておりました。選考者は年寄りばっかりなので、こういった架空の物語に心惹かれてしまうのでしょう。私は同居する祖母との1コマを版画に彫り込んだわけですが、その裏側を知るよしもなし。戦場のような家庭内でこんなことありえないような文字通りの架空の1コマなのです。だれでも桃源郷...
生活するために、鶏肉工場でアルバイトしたことがあります。短期の派遣バイトです。工場ではニワトリを「原料」と言っていました。ゴム手袋を二重にしても「原料」の生きたにおいが手に染みつきます。連日残業で何時間も立ちっぱなし。とうぜん工場内は冷蔵庫。重ね着で着膨れ、夏でも要ホッカイロでした。
この工場には 60才以上の老人が多数働いていました。私と同じ短期の派遣バイトです。通常のバイトさんよりも時給が高く、年齢制限もなきにひとしく、工場はヘンピな場所に建っていましたが、家の近くまで送迎バスをよこしてくれ...
うまい話には裏がある、どんな裏なのか。この鶏肉工場では仕事内容もさることながら、もともと働いている従業員たちがスゴくって、「うるせー」と思わず口ごたえしてしまい、1日でクビになった若い派遣さんもいました。従業員たちは煽りの口先だけでなく、そのときの気分次第では手も出します。私も、どつかれたり、うしろから突き飛ばされたり、まあヒドいものでしたね。労働なんとかの法律? 笑っちゃいます。
じぶんよりも、30 も 40 も年下のガキに、派遣で入った老人たちは、頭ごなしに叱り飛ばされ、ケガしないていどにど...
途中でキレてばっくれるのは、若い派遣さんばかりでした。老人たちは、だれひとりとして脱落することなく、契約満了日まで居続けました。私も体力的に、キツかったなあ。12 時間労働になると、意識が遠のいて、地団駄踏んで、泣きたくなってきます。老人たちをちらりと見れば、疲労こんぱいの横顔、が逃げ出すことなく、じーっと耐えています。先に老人を思いやる「いい子」的な話は嘘くさいと書きましたが、思いやる必要がないのです、老人たちの耐える姿に、むしろこっちが励まされたぐらいで。がんばれとかなんとか、そんなことは言...
お昼の休憩時間は 40 分でした。着膨れを何枚か脱がないとご飯を食べられないので、脱いだり、トイレ行ったり、また着たり、パック詰め商品に髪の毛とか入っちゃいけないのでコロコロしつこくやらされましたが(名前書いて提出する)、そんなこんなで休憩時間は正味 25 分くらいでしょうか。急いで口に押し込み、かき込みながら、派遣同士くるまざになって、それなりにおしゃべりしたものです。老人たちはよく笑い、若い連中に「はあ?」とか言われながらも、いろんなことを話していました。遠くにいる孫に、なにか買ってやりたい...